第5章 奴良組
「カラス天狗がこのタイミングでお主を連れてきたということは…」
『うん。おじいちゃんが考えてる通り…今日の幹部会で挨拶させて貰おうかなって』
「…幹部共を黙らせることはできるのか」
『…さあ?やってみないと分からないでしょう?』
「…ははは、そうかそうか…そこまで言うようになったか…。
性格も鯉伴にそっくりじゃな…」
そう言うおじいちゃんは本当にただのおじいちゃんで、妖怪の主には見えなかった
でも、一瞬で空気が切り替わる
「今日の幹部会、お前が仕切って見せろ。サクラ」
ピリッとした空気が走った
『…謹んでお受けいたします。』
幹部会の為に奴良組の幹部である妖達がぞろぞろ集まってくる
その中には何人か見知った顔もいた
定刻になり、まずはおじいちゃんが部屋の中へと入る
幹部達の挨拶の声が聞こえた
そして、私が部屋に入る
胸を張って、堂々と部屋の中へ入り上座に座った
幹部の間で動揺の声が上がる
『…静かにして頂けますか。』
私の声が部屋を通っていく
次第に幹部達が静まっていった
『さて、突然上座に座る生意気な女に動揺も隠せないとは思います。ですが…これしきの事で動揺しないでいただきたい。
幹部である皆様の動揺は同じく傘下の妖にも伝わるでしょう。その動揺一つ一つが傘下の妖達を不安にさせ…今の状態を招くのでしょうね。』
私のその言葉にイラつきを見せる幹部が数名
その中には私の見知った妖もいる
『幹部であるのであれば…いえ、奴良組の幹部と名乗るのであれば堂々と座っていればいい。有能な者なら動揺も隙も一切見せないでしょう。』
「それは要するに…我々が無能だと言いたいのか小娘」
そう言ってきたのは一ツ目入道だった
『誰も無能とは言ってませんよ。
あ、自己紹介が遅れましたね…。私の名前は奴良サクラ。
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが…二代目総大将である奴良鯉伴の娘です。』
「なっ…」
ザワザワと幹部達が騒ぎ始める
『質問は後からいくらでも聞きましょうか。さて、そろそろ本題に…』
そう言おうとした時だった
一ツ目はどこからか刀を取り出し、あろうことか私に振りかざした