第5章 いざ高専へ
――5月末、日曜日。
カパッ、パチン
カパッ、パチン
高専で新たに手にした開閉型の携帯を開けたり閉じたりしてみる。特にやることがなくて暇だった。外は小雨が降ってて出掛ける気もしねーし、ゲームやろうぜって暇な奴を誘いに寮の談話室に来てみたけど誰もいない。
こういう何もする事がない時は余計に夕凪の事を思い出す。無性に会いたくなる。
今、何してんだろ?
離れで勉強でもしてんのかな?
まさか男と出掛けたりしてねーよな?
カパッ、パチン
電話してみっか。
携帯片手にふと思い立つ。けど、そもそも夕凪と電話なんてこれまでほとんどしたことがない。何かあれば直接話してた。急に電話していったい何、話せばいいってんだ? それにまだ携帯を壊した事を謝ってねーしな。時が経つほどに謝りにくくなっている。
俺は机に足を乗っけて椅子をゆらゆらと動かしながら夕凪の事を考えてた。するとそこに傑がやってきた。オフモードなのか髪を下ろしてる。前髪は定位置だ。
「随分とおセンチな顔してるね、彼女にふられでもしたかい?」
「はっ、俺がふられるわけねーだろ」
「ならいいが、時々悟はぼーっとしているようだから」