第16章 ★ Sweet Memories
「こんな細かな作業、頼めるのは恵くんくらいしか思いつかなくてお願いしたけど、逆に、悟くんに嫌な思いさせちゃってごめんね」
顔の前で手のひらを重ね合わせてごめんのポーズを取っている。言い方も仕草も何もかもが可愛くて、今でも僕は新婚当時、いや付き合い始めた頃と変わんないくらい夕凪が好き。
「次からは遠慮なく言ってよ。どんなに疲れてようが寝てなかろうが、僕は君のお願い事なら喜んでやるからさ」
「うん……ありがとう。次からは声かけるね」
僕に微笑みかけるその顔がマジでたまんない。
「ところで、残ってるのが8ピースってなんで?」
「うん、結婚1年目を1ピースってカウントして二人ではめ込んでいきたかったんだー」
「ロマンチックだねぇ」
「でしょ?」
じゃあって言いながら、1ピースずつ完成写真を見て二人でパズルをはめこんでいく。
子供が生まれた事や、子育てで大変だった事、僕が五条家の当主になって、高専の教師になって、初めて生徒を受け持った事など二人で思い出を語りながら。
時々喧嘩したけど、何が原因だったのかは思い出せない。「きっと食べたかったアイスがない! とかそんな事だよ」って顔を見合わせて笑う。
仲直りするたび絆は深まって、家族になっていったよなー。