第16章 ★ Sweet Memories
顔を上げてドアを見ると、レバーハンドルは一定の角度で止まり、それ以上は動かず、また元の位置に戻った。悟くんはちゃんと内鍵をかけていたのだ。どうりで彼は全く焦らなかったわけだ。もぉ……。
恵くんは、部屋に鍵がかかっている事で何かを察したかもしれない。
「じゃあ帰りますけど、五条先生、夕凪さんとは何もないですからね」
そう言い残してドアから離れていった。
「わかってるよ、おーつかれ、恵」
悟くんが返事を返す。恥ずかしすぎる。あたし達が淫らな行為をしてた事がバレたかもしれない。結婚してるからいいとかそう言う問題じゃない。
息を整えてあたしは悟くんを見上げた。軽く咳払いをする。
「もぉバレたらどうするの。ほんとにあと少しで声が出そうだったんだよ。なんかあたしと恵くんのこと勘違いしてる?」
「……いや別に。夕凪は恵のこと、男として見てないでしょ」
「わかってるんなら、なんで」
まだ、完全に悟くんの中でわだかまりは解消されてないみたいだ。あたしをイかせても満たされてない顔をしてる。