第16章 ★ Sweet Memories
恵くんの声だ。あたし達の話し声が聞こえたのかもしれない。きっとパズルの続きをどこまでするかって話だよね。最後までやらないでと言ってある。
「いったん戻るね」
そう言って、壁から身を剥がそうとすると、逆にぐいっと悟くんは間合いを詰めてきた。スカートの裾から手が滑り込み、太ももにやんわりと添えられる。ハッとして彼を見上げると、つつーっと指先で内腿をなぞられた。
「ひゃ……っい…ぁっ」
恵くんに、はいと返事をするつもりだったのに、変な声が出てしまった。
「夕凪さん?」
「ん、あの、すぐ行くから、和室で待ってて」
「……じゃ」
しばらくすると、ドアの近くから恵くんの呪力の気配が消えた。恥ずかしさでカーッと一気に顔が熱くなる。
「なっ、なにしてんの」
「僕のもんって、もう一度ちゃーんと教えこんでんの。三日ぶりに戻って来たのに、恵んとこ行くとかないよねー」
平然とした顔で、彼は太ももの間のさらに奥へと手を伸ばしてきた。ショーツの上から陰部に手を当て優しく指先で擦る。
「あっ!……もぉ、ダメだって」
「じゃあさ」
「うん」
「一回イったら行かせてあげる」
甘く官能的な囁きが、左の耳から入ってきた。