第1章 出会い
あたしとおかあさまは五条家の侍女つまり使用人として採用されたのだ。
おとうさまは呪術師だったが、あたしが1歳やそこらで任務中に命を落とし、そこからおかあさまはシングルマザーになった。
働き手が命を落とし一家が貧しくなる呪術師の家庭というのは時折発生する。
その救済措置として、財力のある呪術界の御三家がこのように家に仕える人間を採用する事があった。
今回、五条家には悟くんがいるという事で、悟くんの遊び相手も同伴している女性使用人を募ったらしい。
悟くんは6才で、学年で言うとあたしよりひとつ上で、ちょうど条件に叶ったようだ。
「ゆくゆくは当主となられる坊っちゃまだからね。気に入られたらきっと未来の奥様のお世話も任せられるから。夕凪、仲良くね!」
「はい」
おかあさまとふたりで五条家のお屋敷にやってきた初日に意気揚々と返事をしたあたしだが、次の日には
「やだ! 仲良くなんか出来ない! 嫌い」
とあたしは泣き喚いていたらしい。
最初に彼を見た時の第一印象は間違っていなかった。いやそれ以上にひどかった。