第16章 ★ Sweet Memories
「後ろに写ってんだろ? 七海と直哉とあと京都の男ら。みんな夕凪見てんじゃねーか。こんなのほっとけねーだろ。だからカボチャ被っとけって言ったんだよ」
よく見ると、確かに背景に彼らが映り込んでるけど……ちっちゃーい! どんだけ細かいとこ見てんの?
しかも七海なんかあたしを見てるのか、テーブルのチキンを見てるのかわかんない。ただこっちに顔が向いてるってだけだ。
「悟くん、誰も見てないよあたしのこと」
「オマエは背中向けてんだからわかんねぇーだろ」
つまり、これは独占欲ってこと?
自分以外の男があたしの事、可愛いって目で見て欲しくないから可愛くないって言って、仮装を変えさせようとしたの? マジでややこしい人!!
「でも……全然エッチしなかったのは、あたしが尽くさない彼女だからなんでしょ?」
「あ゛誰がそんなこと言ったの」
「誰って別に……」
「ナニ? そんなに俺とシたかった?」
「そういうわけじゃ」
ハイハイごめんね、気付かなくてって、軽くキスされる。
「別にフェラしねーからヤらねぇとかそんなんじゃねーよ。こっちだって我慢してたんだよ」
「え?」
悟くんはあたしの任務が増えて忙しかった事を気にかけて、エッチを控えていたと言う。特に灰原があんな風に命を落としたことは、彼なりに衝撃を受けたようで、万が一、あたしが寝不足なんかで、呪力操作をミスって怪我したり死なれたりしたら洒落になんないからって。
「あたしを心配して、それで何もしなかったってこと?」
「そーそ。それ以外に何があんの。触れたらヤりたくなるから、オマエから距離取ったりして、頑張ってたんだからなー」
そうだったのか。わかりにくい人だけど、心の中ではちゃんと可愛がってくれてて、エッチしなかったのは、あたしの奉公不足が問題ではなかったようだ。安心した。