第16章 ★ Sweet Memories
「……っ、ん、夕凪 な、にしてんの?」
「なにって。その……」
「……あぁー仮装パーティだよな。着替えねぇとな。俺、寝てた?」
そうなんだけど、今は会場に戻るより、悟くんを癒やしてあげたい。キスした事も気付いてないのか、彼はまだぼうーっとしてる。
「あ、あのゆっくりしない?」
「ん? ハロパ楽しみたかったんじゃねーの」
「そうだけど、悟くん、疲れて寝ちゃってたみたいだし、このまま休んで」
意識がハッキリしてきたのか、彼はあたしを見て目を丸くした。
「っていうか、オマエ! その恰好なに? まさかそのメイド姿でハロパ出たんじゃねーだろうな?」
「違うよ」
あたしは、大きくかぶりを振った。今ここで着替えたのだと言葉を付け加える。そして彼の膝元に体を滑らせ、ゆっくりと両脚の間に身を押し入れ、膝立ちした。
「あの、悟くんは何もしなくていいから。今日はあたしがご奉仕します……だから休んでて」
「は、急になに?」
「いいからっ」
悟くんのお腹をぎゅーって押して背もたれに倒す。それから、彼のシャツの下にゆっくりと手を入れ、スウェットパンツのゴムの部分に手をかける。おへそに触れただけでドキッとしてしまう。固い腹筋がそこにある。
「脱がすね」
緊張しながら見つめると、彼は「顔真っ赤だな」って首を少し斜めに傾けて、不敵な笑みを浮かべた。どうやら状況を把握したみたいだ。力を抜いてる。
「こんな服に着替えたってことは、徹底してやるんだよなー」
「え、どういう意味?」
五条悟、悪ぅーい顔してる。
「主に仕えるのに悟くんって呼び方はないだろ」
「あ、えっと……ハイ、ご主人様」
恥ずかしい、言っちゃった。けどそんなあたしを見て悟くんはご満悦だ。あたしの顎をくいっと上に持ち上げて、唇が触れそうなところまで顔を近付ける。
「もう一回俺のこと呼んでみてよ」
「はい、ご主人様」
呼び方が気に入ったみたいで、くくって笑う。
「で、メイドのオマエは何してくれんの?」
「あの、ご奉仕します。口でご主人様を癒します」
「ふーん、出来んの? じゃ、気持ちよくしてよ」
「は、い」
ゆっくりとスウェットと下着をずらし、脱がせた。