第16章 ★ Sweet Memories
「悟くん?」
ノックしたけど返事がないからそのままドアをカチャリと開けた。
――寝ちゃってる。
部屋に入るとソファーにどかっともたれて、悟くんはうたた寝状態に入っていた。シャワーして仮装の衣装に着替えるつもりだったのかな? 部屋着になっている。
もぉー、呼びつけといてこれかぁ。
けど無理もないかも。彼の任務は最近ぎゅうぎゅう詰めだったし、睡眠もろくにとれてなかったかもしれない。今日だって、五条家できっとストレスを感じながら、親戚同士の話し合いに混じり、次期当主の務めを果たしてきたんだろう。
起こそうかと思ったけど、この状態で今からパーティの場に連れて行くのはどうかとためらった。
休ませてあげたいな。あたしだけ戻ろっかな。ほんとは一緒に仮装パーティー楽しみたかったけど、悟くんの体が一番大事だ。
眠る彼を背に、パーティ会場に戻ろうとして、ふと直哉さんの言葉を思い出す。
「尽くしてへんのんちゃう? せやから可愛いがってもらえんのやで」
直哉さんは、からかって言ったんだろうけど、なぜかこの言葉が脳裏をかすめた。
あたし、これまで自分本位だったかな?
実は、ここ最近、悟くんはお疲れモードみたいで……全然彼とエッチをしていない。一緒にいても触れられる事はなく、かれこれ1ヶ月以上は経っている。
最後にシたのいつだっけ? 体を重ね合わせて何度も繋がりあった夜を思い出してたら、胸の真ん中にポツンと寂しい気持ちが湧きあがり、逆に体はほんのりと熱い熱が呼び起こされた。
――尽くしてないから、可愛がってもらえないの?