第16章 ★ Sweet Memories
パーティは中盤に入り、ビンゴ大会へと突入した。いまだ会場に到着していない悟くんの分も、カードを貰って代わりにやる。
会場の中央に集まると、ゾンビ姿の直哉さんが隣に立った。メイクなんかしなくても性格のドブカス具合が滲み出ていて似合いすぎだ。直哉さんがちらっとこちらに目をやる。
「あれ、悟くんどうしたん? 彼女ひとりにして、ハロウィンにほっつき歩いてんの? とうとうなぎちゃん放置されてもーたか」
この人には何を言われても、基本、無視だ。小さい時からずーっと感じ悪い。あたしが悟くんの恋人になってからも、男尊女卑とセクハラまがいのことしか言ってこない。だんまりを突き通す。
「そうや、なぎちゃんは五条家の使用人やった。だから扱い適当なんや。しゃーないしゃーない、お妾さんは我慢せんと。悟くんモテるやろうし、今晩は俺が相手したろか?」
「……」
「睨んだ顔も悪ぅないわ。けど悟くんが今、隣におらんのは俺のせいやないからな。寂しそうな顔してるから話しかけたってんや。感謝しーや」
まるであたしが、悟くんに約束すっぽかされて、ぼっちになってるみたいな言い方だ。完全無視する姿勢を取ってたけど、ムカついて思わず言葉が口を衝いて出た
「今日は五条の用事で忙しいだけなの。もうすぐ来るから」
「ほんま? 騙されてへん? 他の女んとこ行ってんちゃう? なぎちゃん、悟くんに尽くしてへんやろ? 生意気そうやもんなぁ。女は後ろにひいて、男を立てて、ちゃーんとご奉仕せんと」
「直哉さんと悟くんは違うから。それに……ちゃんと尽くしてます!」
「くくっ、どうやろなー。もし悟くんに捨てられたら俺が拾ったってもええで。アンタ術式持ってるし顔も胸も嫌いやない。男への尽くし方、丁寧に教え込んだるわ」
ギッと睨みつけた。やっぱり話す価値なんてない人。くだらない会話のせいでビンゴの数字を全然追えてない。
あたしは直哉さんから離れて、読み上げられた数字が書いてあるボードの方へと寄った。そのタイミングでピコンとメールが届く。