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【呪術廻戦】-5歳で五条家に来ました-

第15章 エピローグ


 覚えてる。ちょうど桜と同じ1年生の時だ。

 大好きなお父様の顔を写真を見ながら描いたけど、目を隠すなんて犯罪者みたいって、変って、男の子たちにいじめられて、何も言い返す事が出来なくて悲しい気持ちのまま屋敷に戻った。

 そしたら悟くんが声をかけてくれて、あたしは悟くんの前で大泣きしたんだ。

「……忘れてない。忘れるわけないよ」

「もうこれで泣かなくていいでしょ? 夕凪の父親はからかわれたりしないよな?」

「悟くん、そんな風にずっとあたしのこと思って――」

 その時、悟くんのスマホが鳴った。電話に出ると、ばっちりって笑みを浮かべて、今行くって返事をする。あたしにはすぐ戻るからと言い残し、その場を去った。なんだろう。

 桜と一緒に教室で悟くんを待っていると、ひとりの女性と一緒に現れる。

「お待たせー」

「お父様、その方だあれ?」

「いっしょに仕事してる補助監督のミカさんだよ」

「桜ちゃん、はじめまして。わぁ、五条先生にそっくり」

 びっくりだ。この人はあたしが浮気を疑っていた補助監督の人。こんなところに堂々と来たの? 

 一気に興醒めした。
 馬鹿馬鹿しい。さっき、一瞬でも、悟くんの言った"約束"に感極まって泣きそうになった自分にビンタしたくなる。

 電話出て、すっ飛んでいったのはこの人に会うため?

 この人は待ち合わせしてた場所じゃ我慢できずに学校まで来たの?

 やっぱりあの日、電話で約束してたのはこの人?

 娘にまで挨拶しちゃって、どういうつもりなんだろ。悟くんも悟くんだ。家族の前に連れてくるなんて、それってもう、存在を隠さないってことなんじゃ。


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