第15章 エピローグ
家入先輩にも探りをいれてみた。補助監督のミカさんは、独身で彼氏なしで色気ありの女性らしい。思い切って、悟くんが浮気してないかどうか尋ねてみる。
「五条の浮気? ないない、笑わせんな。この間も七海に牽制かけてたぞ。『夕凪に連絡する時は必ず僕経由でね』って。妻にしてんのにまだ心配なんだな」
「そう……ですか」
でもそんなの聞いたって余裕なんかない。二股ってこともある。セ、フ、レとか?
あー汚らわしい! でも、中学の頃なんか、何股かけてたんだってくらい器用に適当にやってた気もする。グラサンして街歩いてたら、今でもしょっちゅう逆ナンされるし、五条家にはもう跡取りはいるわけだし、遊んでてもおかしくない!
目の前のソファーからスッと恵くんが立ち上がった。
「夕凪さんそろそろ俺失礼します」
「あ、ありがとう。当主にはあたしが探ってること秘密ね」
「いいですけど、ほんとに五条先生は何もないと思いますよ。忙しそうだし」
忙しいって言ったって、個室でイチャイチャする時間くらいはあるんだよ、恵くん。
「それに五条先生のあの目隠しも夕凪さんが絡んでるんですよね? 大事な人じゃなかったらそこまでしませんよ」
部屋を出る前に、恵くんは振り返ってそう言った。
――目隠しか。たしかに……そうだ。
恵くんは最後にあたしに大切なことを言い残してくれた。