第15章 エピローグ
「あ、五条先生、そこ触っちゃダメです」
「え、ダメだった?」
「まだ、そこは早いです」
「そう? もういいでしょ。十分じゃない?」
「ダメです。……濡れてますから」
はー!?
聞いてびっくりなんてもんじゃない。ここ学校だよ、場所考えて! ってそういう問題じゃない。
ホテルだったらいいとかじゃない。あたしがいるのに何やってんの。結婚してるでしょ! 不倫? 浮気?
すぐにでもドア、蹴り開けようかと思ったけど、あたしはお着物だったし、もしも、もしもだよ? いやらしい事、し始めてる最中だったら、そんなの見ちゃったら、もうお屋敷に戻れない。不潔!
悟くんなんか嫌いどころじゃない。子供と一緒に五条家、飛び出しちゃう。
でも、あたしはそうやって過去に一度、遺言を誤解して飛び出して失敗してる。だからとりあえず、その場はグッと我慢して、そのままお屋敷に戻ることにした。
後日、調べてみたんだけど、どうやらその相手の女性は補助監督らしい。あたしより5つ下で、悟くんの元教え子だとか。その情報だけでなんかエッチだ。
勇気出して、悟くんにも直接聞いてみた。
「ねぇ、補助監督のミカさんって人と親しい?」
「ん? 別に」
「よく会ってる?」
「そうでもないけど。用事がある時、高専で会うくらい」
なんとなく、話を簡潔に終わらせようとしてる気がする。ますます黒っぽい!