第15章 エピローグ
最後は恵くんと悟くんとのやり取りで音声は終わった。超恥ずかしい。
悟くんは学校で何してんの。ちゃんと呪術教えてるのかな。恵くんがそそくさとスマホをカバンに閉まう。
「聞きました? 五条先生、お子さんも夕凪さんも溺愛ですよ。こんな状態で誰と浮気するんっすか」
「うん、まぁそうなんだけど」
確かに、宝も、桜も、空のことも可愛がってくれてる。あたしへの態度も特に変わったというわけではない。
だけど、あたしは、いかがわしい会話をこの耳で聞いてしまったのだ!
――遡ること10日前。
夜蛾学長に呼び出されて、東京都立呪術高等専門学校まで足を運んだ。こういう事はちょこちょこある。結婚して以来あたしは、五条悟へのクレーム受付窓口へと化している。
今回は楽巌寺学長がいらしてた。
「奥さんから一言、五条に言ってもらえんか」
話が始まる。敬語がどうだの、上層部への態度がどうだの、周りにストレス与えてるだの、遅刻をするだの。
そんなお小言を悟くんの代わりに聞く。そして「わかりました。伝えます」ってにこやかな笑顔で応対するあたしは、出来た嫁だ!
その帰り、折角だから、悟くんに差し入れでもしようと思い学内を探した。けど、教室にもどこにもいなくて、高専内をうろつく。
その時だ、あたしが耳にしたのは。たまたま聞いてしまった。悟くんが女性と話してる声を。
「やっぱり、髪が綺麗だよね」
「そうですか、ありがとうございます」
「うん、唇もつやつやでいい感じ」
……何これ、口説き文句みたいな会話。すぐ近くから聞こえてくる。
教職員用の個室だ。続きが気になって、耳をそばだてて、立ち聞きする。