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【呪術廻戦】-5歳で五条家に来ました-

第14章 過去


「夕凪は楽しいだろ? 僕といんの」


 その一言は少し刺さった。

 そう言えばさっきの婚約の儀でも言ってたな。「みんな楽しんでたからいいんだよ」って。

 楽しいって大事な感情だ。それであの場が収まった婚約の儀がいい例。確かに悟くんといるのは楽しい。馬鹿だなって思うこともムカつくこともあるけど、それも含めて楽しいのかも。

 北海道での生活にそれはなかった。

 家の中は堅実で静かで心を乱されることはなかったけど、全然楽しくなかった。寂しかった。

 それは悟くんが高専に入学した時も、思ったような気がする。寮に入って、悟くんがいなくなって、邪魔される事はなくなったけど、楽しくなくて、どこか寂しい気がした。

 しだれ桜のおばあちゃまに向けてた顔を悟くんへと向ける。

「桜餅20個で許す」

「余裕で買ってやるけど、そんなに食うの? オマエのその頬っぺたの餅入れたら全部で22個に――」

「うるさいっ!」

 こんな事言って、笑い合うのもきっと幸せなんだ。漫才にオチがついたところで、しだれ桜を後にする。

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