第14章 過去
「婚約の儀で、既に子供がいるなんて、これまでの五条の歴史で一度も聞いたことないぞ。悟はほんとに何もかもが規格外だな」
「それだけ僕らの仲がいいってことでしょ。なぁー、夕凪そうだよな」
「……」
「なー夕凪」
「ん?」
宝にしんみりと感傷的になって、遠いところに意識が飛んでしまっていた。
悟くんの、2回目の呼びかけで、話を振られたことに気付く。叔父様が茶化されたようだ。
「え、仲? 仲はそうだな、うーん中の上くらい?」
「誰が真面目に分析しろって言った。しかもそれなら上の上だろ」
おでこを人差し指でぐいって押されて、軽く首がのけぞる。
「痛い。おでこ赤くなるじゃん」
「んじゃ、こっちか」
鼻の頭を押された。何すんの!
潰れた鼻を整形しながら、もう片方の手で背中を軽く小突こうとすると、無下限張っててやり返せないようにしてる。
術式使ってゴリゴリ無下限を押した。もちろん触れられないんだけど、せめてもの反抗。
「やめろよ、宝に当たったらどうすんの」
「ふざけてきたのはそっちでしょ。おでこも鼻も痛いんだから」
「痛くねーだろ。慣れてるだろ。ずっと何年もやってんだから」
「毎回我慢してるの。慣れさせないで。悟くんなんか嫌い。仲は下の下!」