第14章 過去
お母様は、お父様の言葉通り、五条家からの救済措置を待って、そして、あたしを連れて五条家のお庭に足を運んだ。
奥様は桜の会の参加者リストに尊の文字があるのを見て、その時初めて、お父様が呪霊討伐の任務で命を落とした事を知ったらしい。
「あんなにいい目を持ってる人が……どうして」
奥様はショックを受けられたけど、残された家族が五条を頼ってきたなら力になりたい、と思われたそうだ。
でも、この桜の会は通常の救済措置とは違って、遺言が絡む、悟くんが自らの目で遊び相手を選ぶものだったから、奥様は何も出来ずにいたとのこと。
そして――あたしと悟くんは、初めてそこで出会った。
「悟が選んだっていう女の子を見た時、すぐに、尊家のお嬢さんだとわかったわ。お父様とそっくりの深碧の目なんだもの。澄んだ綺麗な目」
奥様が初めて会った時から、可愛がってくださってるような気がしたのは、そういう経緯があったからなのかと、今初めて知る。
お父様は、姿こそないものの、五条家に来た時からずっとあたしを支えてくれてた。