第3章 使用人
そんなわけで、夕凪と話すのはもっぱら屋敷の離れ。冷やかしもねーし、周りにうるせー大人もいねーし、適度な部屋の大きさで落ち着く。
離れに行くと毎回のように夕凪は眉をひそめて預かったものを俺に渡してくる。いらねーつってんのに。女ってのは狡猾で夕凪が嫉妬の対象から外れると今度は夕凪を通して俺に接近を図ってくる。
寄ってくる女達はなんか色んなもんをくれて、最初はありがたーく貰ってたんだけど、途中から拒否ることにした。
女の趣味で買われたハンカチやら小物やら文具やら洋服やらどれも俺の好きな感じじゃねーし、ひとつでも何か使えば、それを渡した女の事が好きなのか? とか聞かれる。誰がくれたかなんて覚えてねーんだよ。結局もらっても捨てるだけになる。そんなの地球環境にも良くないだろう。
夕凪もバカ正直に受け取るなよな。んなもん、俺に怒られるとか言って断っときゃいいのに。