第13章 幸せのピース
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長距離の移動と、五条家への緊張、それに加えて、悟くんと久しぶりに濃厚な会話して、脳がヒートアップ状態だ。
甘いものが食べたくなって空港で買ったバターサンドを鞄からごそごそと取り出す。悟くんもきっと食べるよね。
「紅茶でも淹れる?」
尋ねながら立ち上がろうとすると、片手を広げて制された。前までなかった室内インターホンが設置されていて、通話ボタンで誰かを呼び出している。繋がった先は使用人のようだ。
「紅茶よろしく。僕、砂糖多めで。夕凪の分も」
「これどうしたの? 付けたの?」
「あぁ。離れ専用の使用人につながるから、持ってきてほしいもんとか言って」
「専用!? 出来ないよ、遺言の婚約者だったからって、いきなりそんな偉そうな態度出来ない」
「偉そうじゃねーよ。オマエは他にやる事あんだろ」
「なに? 何もないよ。術師もやめたし」
「じゃあ五条夕凪の書の練習でもしとけ」
「それはもういいから……ネタにしてるでしょ」
「くくっ、まぁそれもすりゃいいんだけど、もっと大事な事あんだろ?」
頬杖をつきながらあたしを見つめる。