第3章 使用人
「ひどい、ひどいよ」
「新しい機種用意させるし」
「そうじゃないでしょ! 謝ってよ」
「割れたって口実でそいつともう一回写真撮れるから逆によかったんじゃねーの!」
「最っ低! もうこんなの撮れないもん」
悟くんはすぐにこうやってあたしを自分の手中に収めようとする。
ねぇ、あたしの気持ちは考えないの? 使用人なら何してもいいの?
悔しくて悲しくてわかって欲しくてあたしは悟くんにダメージを与えたかった。
空気中の酸素を手のひらに集め術式に流し込む。それを呪力で冷やすと液体酸素となって簡単な爆発物が生成された。
悟くんに向けて即座にそれを放つ。
こんな事したの戦いごっこ以来だ。けど当たらなくて、無下限に弾かれて、ポシュっという音と共に呆気なく空気中に消えてしまった。
こうなる事はわかってはいたけど。
「弱っ、オマエ術師なんかならないで、ここで、五条家で働いてろ。そんなに大事な写真だったんならバックアップねーの? そいつ同じ写真持ってんじゃねーの?」
「悟くんはぜんぜんわかってない」
「なぁ、なんで俺にはそういう顔しか見せねーの? マジでブス」
悟くんは話を最後まで聞こうともせず離れから出て行った。