第12章 ★ハワイ旅行
そう言いながらも穏やかなひとときだ。芸人さんがボケて、あたしと悟くんが笑う。笑いのポイントが同じっていうのが嬉しい。
あたしのお腹と腿と悟くんの頭が同時に振動で揺れる。そしてまた、熱い息が腿にかかる。
息がかかるとセクシーな下着を着けてる事を思い出す。体がじりじりと熱ってくる。
最初はショーツが見えないように覆っていたTシャツも、笑った時の振動でずれてきてるかもしれない。下着、見えちゃってないよね?
番組が終わりに近付いた頃、彼はくるりとこちらに向きを変えた。あたしの頬にゆっくりと手を伸ばしてくる。
「シたくなったわ。オマエは?」
「え? あたしは……」
シたくないことはないけど、とにかく下着を見せるのが恥ずかしい。返答をためらってると、彼は上体を起こして上半身のシャツを脱ぎ始めた。
「シたくねーの?」
「そんな事はないよ」
「さっきから、誘ってたよな? 脚はもぞもぞ擦り合わせてるし、髪撫でてくるし、胸あててくるし、耳の裏を指でなぞるし、わざとだよな?」
「え? そんなことした? 指でなぞるとか」
「は? 無自覚か」
無自覚っていうか誘ってないから! けどそれで誘ってるって思うなら、この下着なんか絶対、今すぐキテ! カモン! じゃん。彼はゆっくりあたしをベッドに押し倒して来た。
「ちょっとストップ、ストップ! 怒るよ」
「全然怖くねぇーし」
確かに怖くないわ。おふざけしてると思っただろうな。彼があたしの名前を優しく呼ぶ。目を閉じながら唇を寄せてくる。これはまずい……五条悟に流される。