第12章 ★ハワイ旅行
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困った。ほんとに困った!
人生最大のピンチ。好きな人の前でこんなあたしを見せないといけないなんて。
バスルームの鏡の前に立って下着を着けたあたしは自分で自分の体をぎゅっと抱きしめる。この格好見たら、悟くんはひくかな? 逆に喜ぶ? いつもよりたっぷり愛してくれたりする? 着衣のまま、ナカに挿れてくる?
……ん、なに考えた今? やだやだやだ。脱ぐべきか、着ておくべきか、迷った結果、ノーパンノーブラほど頼りないものはないと判断し、このえっちな下着をつけることにした。
カチャ
バスルームを出て、ちらっと部屋の中の様子を伺う。エッチな下着の上には悟くんから借りたTシャツを着てる。
実はルームウェアーも下着と一緒に盗られている事がさっき判明して、悟くんに告げると「これでも着れば」って貸してくれた。
彼Tって言うの? 明らかにダボダボ。190センチの人が着るTシャツなんて肩のサイズから合ってない。お尻は隠れてるからありがたいけど。
心を落ち着かせるために、冷蔵庫から炭酸飲料を出して飲む。柱の影からそっと部屋の様子を伺うと、悟くんはキングベッドの上で斜めにもたれながらTV見てけらけら笑ってた。
あたしに気付いて、目線をこっちに向けた。慌てて隠れる。いや隠れるのはおかしいだろ。大失敗!
もう一回そろっと柱の影から顔を出す。目が合うとやっぱり恥ずかしい。また隠れてしまった。このままバスルームに戻ろっかな。そこで一晩過ごしてもいい。
バスルームに向けて一歩足を踏み出すと、手を掴まれる。
「なんの遊びしてんの? 隠れても呪力で気取るから隠れんぼは出来ねーからな」
「そっかー。残念」
なんだこの返事。そっかーとかないわ。自分でも下手くそ過ぎて呆れる。余計変に思われた。