第12章 ★ハワイ旅行
ゴリラタトゥーは全然逃げる気も怯む気もなく、こちらにやって来る。身長は悟くんと同じかそれより少し低いくらいだけど、横幅がデカイ。
やる気満々って感じでファイティングポーズ取ってる。こんな日本人なら勝てそうくらいに思ってんだろうな。
「Do I look soft?」
僕、弱そうに見える?
「Because it's slimmer than you. Did you think I had no muscle?」
アンタに比べりゃスリムだからなー。筋肉ねぇわとか思った?
悟くんが英語でゴリラタトゥーを煽ってる。かっこいい! こんなに喋れたの? この人そのうち何でも出来る人になっちゃうのかもって思う。
ゴリラタトゥーはいきなり携帯を出してきた。なんだ? 自撮り棒みたいなのせっせこ仕込んでる。と思ったら……あたしのワンピの下にそれ伸ばしてきた。
まさか! 下着盗んだから何も履いてないと思った? カメラで覗こうとした? コイツど変態じゃん!
あたしは無下限の中に入ってるから、その自撮り棒は、全然近づかなくて、男はワット? って言ってる。悟くんはガチギレだ。
「Don’t fuck with me. Die?」
ナメんなよこの豚。死ぬ?
その言葉にゴリラタトゥーもカーっときたのかその太い腕で悟くんに殴りかかってきた。邪魔になると思ってあたしは咄嗟に離れる。
特段構えもせず、悟くんはサッと避けて、男のみぞおちに下から一発打撃を入れた。
呪力は全く使ってないけど、100キロほどありそうなその巨体は真上に向かって飛び、駐車場の天上のコンクリに背中を打ち付けて落ちてくる。
「死んでないよね?」
「肉襦袢があるから死んでねーよ」
完全ノックダウンだ。悟くんに言われて、下着被害に遭った時の現地での連絡先に電話すると、程なく名探偵コ◯ンのジョディ先生みたいな女警官が現れ、逮捕に至った。