第12章 ★ハワイ旅行
悟くんは驚いてたけど、どこにもないって事情を説明すると、盗難しかないだろうなって結論に達した。ショックで泣きたい気分だ。
そういえば、ホノルル空港に到着した時に、ハワイで下着の盗難事件が相次いでるから注意してくださいって、日本人向けのニュースが流れていた。
犯人の顔はもう割れてていて写真も公開されていたけど、まだ捕まってないみたい。
注意しようにも、勝手にスーツケースの鍵が開けられてしまったんだからどうしようもない。
「あぁ、最悪。ねぇ、犯人はさ、下着なんか取っていったいどうすんだろね」
「そういうの盗む奴ってのは、だいたい持ち主見て盗んでんだよ。ババアのブラは盗まねーだろ? そんで下着見ながら……」
「下着見ながら……?」
「なんでもねー」
何かを想像したのか悟くんがチッて舌打ちしてイライラしだした。
「ふざけたマネしやがって」
「どうしたらいい? 被害届出した方がいい?」
「だいたいの目星はついてる」
悟くんは、盗んだ犯人は、あたし達がビーチに行ってる間、この部屋に入れる人物だから限られてるって言う。ホテルのテレビをつけると、丁度そのニュースが流れていた。高級ホテルしかも日本人が被害に遭うのが多いようだ。犯人の顔写真も出てる。
「犯人ってこいつ? あー昨日も見たわー」
「見たの?」
「あいにく目がいいもんで。変装してんだろーけど僕が見たら楽勝」
警察に相談も出来るけど事が大きくなるのは嫌だし何より旅行がそれで台無しになるのが嫌だ。とりあえず今、水着を服の下に来たまま階下に行ける?って言うから頷いて着いていった。