第12章 ★ハワイ旅行
たっぷり海で遊んだし、お昼からは観光に行こう!って話になって、着替えのためにホテルの部屋に戻った時の事だ。
「ねぇ、悟くん、知らないよね……? ないんだけど」
「何が?」
「なんでもない。もう一回探す」
やっぱりこんなの恥ずかしくって言えない。悟くんは鼻歌歌いながら、昨日買ったハワイブランドのTシャツ眺めてる。
ごそごそとスーツケースの中を探る。あたしが探しているのはランジェリー用のポーチ。丸ごとなくなってる。ブラやショーツを収納する下着専用のポーチだ。今朝までは確かにあったはず。
どこいったんだろ? 広いスイートルームの中をうろうろ探してみるけど、こんなのあちこち持ち歩くようなものでもない。ビーチに行った時はスーツケースの中に入れて出たはずだ。
悟くんはあたしのスーツケースの中を無闇に見たりしないし、そもそもあたしの下着を奪う理由なんかない。彼女をノーパンノーブラにしてハワイ旅行したいような変態じゃない。
……違うよね? もしかしてあたしが知らないだけで性癖を隠してたとか?
それならそれで受けて立つけど、17歳のあたしにノーパンノーブラで街うろうろはちょっとキツイ。もう少しその性癖になじむまで年月をください。
……なんて、馬鹿なこと言ってないでこれはほんとに困った。あたしがあちこち歩き回ってベッドやソファーの下をのぞいたり、きょろきょろする様子を悟くんも見かねたようだ。
「さっきからなに探してんの?」
「それが」
言いにくい。誰か代わりに言ってくれ。天の声とか降りてこないかな。
「泣きそうな顔してっから一緒に探してやるよ、なに?」
「……うん」
「オマエはそうやってすぐ踏ん張るからなー。頼れよ」
きゅん。時々こういう事言うから、喧嘩してもまた仲良くしようって思える。思い切って口を開ける。
「下着がないの! 一式」
「は? なんだそれ」