第3章 使用人
生徒会活動で遅くなって、学校が終わった後も、しばらく道端で行事の話し合いをしていて帰りが7時過ぎになってしまった時のことだ。
五条のお屋敷に戻ると悟くんが玄関に立ってる。ずっとここにいたの?
「最近帰るの遅くねー?」
父親みたいなこと言ってきた。父親はいないから想像なんだけど。
反抗期真っ盛りの娘みたいにあたしも答えてしまう。
「うっざ!」
中2だからこんな言い方になるのを許してほしい。悟くんにイライラしてしまう。
あたしの事なんかほっといて彼女の事だけ見てれば? って思ってしまう。
「あ゛なんだその態度!? こっちは心配してやってんのに」
「心配いりません、呪術使えるし。帰ってくるの遅いのはそっちでしょ? 高校の女先輩とカラオケ行った後、深夜まで帰ってこなかったじゃん。どこ行ってたのかなぁ? 一体何してたのかなぁ?」
「へぇー、気になんの?」
「全く」
感情のコントロールがうまく出来ない、自分でもなんでこうなるのかわからない。
婚約者のことを気にし出してからあたしは少し変だったのかもしれない。非行に走ってた?
そうじゃないけど、悟くんのそういう、なんていうか、夕凪は俺のもんでしょ? みたいなところから抜け出たかったのかもしれない。
あたしは縛り付けられた使用人じゃなくて、遊び相手でもなくて、自由なひとりの女の子なんだって、ちゃんと意思もあって、五条家の未来の事まで考えて接してるんだって分かってほしかった。
思春期はとっても複雑だ。