第11章 急展開
9ヶ月以上キスしてなくて、唇もさみしかったのかな? 照れ臭いキスから始まったキスは、どんどん深くなってきて、これ以上キスしたらキスだけじゃ済まなくなりそう。舌が入り込み、唇が重なるぴちゃっていうリップ音が響いてる。
濃厚なキスで体の力が抜けてしまって、そのままカーペットの上に背中から倒れた。悟くんが重なってきて、至近距離でその目を見つめると吸い込まれそうになる。青い瞳。無限に広がっている空のような目。
こんな場所で、って思うけど理性があまり働いてくれない。さっき直哉さんに触れられて気持ち悪いところも上書きして欲しいって思ってしまう。
悟くんも気になっていたのか「どこ? アイツがオマエにちょっかいかけたの」って聞いてくる。そんなにたくさんあるわけじゃないけど、ほとんど何もされてないけど、「ここ」って言うと執着してくる。
だめだ、体が言うこと聞かない。このままきっとシちゃう。朝まで何度も抱かれちゃう。そう思った時だ。
「んぎゃあああああ! んぎゃあああああ!」
赤ちゃんが怪獣みたいな声で泣き始めた。
「あっ、お腹がすいたみたい。授乳してくるね。あとオムツ替えも」
キスを離して体を起こす。悟くんは突然の中断に苦しそうだけど仕方ない。子供がいるってこういうことだ。しばらくすると、よっこらしょって悟くんも体を起こしてベビーベッドの所に来た。赤ちゃんに向かって何か言いたげだ。
「空気よめよなー」
「無理言わないで」
泣いてぐずってる赤ちゃんを抱っこして、悟くんには少し席を外してもらって授乳を済ませた。再びベビーベッドに寝かせると、お腹が膨れてご満悦なのか赤ちゃんは、あ、あ、って声出して悟くんの方を見てる。
「飯の時間だよな、夕凪、夜どうすんの?」
「唐揚げの下ごしらえをしてあるの。一緒に食べる?」
「美味そうだな」
外を見るともう暗くなってる。もうすぐ午後7時。冬の北海道は真っ暗だ。ささっと唐揚げを揚げて、シソの葉を刻んだ千切りキャベツをつけ合わせて、小さな食卓テーブルの上にお皿を並べる。お豆腐とネギのお味噌汁も作った。
ほんとにささやかだけど、お誕生日のお祝いだ。いただきますって合掌して悟くんと食べ始める。まさかこの小さな食卓テーブルに悟くんと座る事になるとは。体が大きいから悟くんは窮屈そう。