第11章 急展開
この遺言は婚約者となる相手の同意があったのみに有効とする。その場合のみに可能となる術式相伝の秘術である。
幼き頃に出会った相手が必ずしも相思相愛となるとは限らない。
婚約者の気持ちを第一優先事項とし、決して、強制的に婚姻に至らせたり、婚約者であることを告げ、圧をかけたり、恋愛的感情を無視した囲い込みをしてはいけない。その行為は付記事項に述べたように愛を伴わないため、五条家の衰退へとつながる。
婚約者の同意の不一致、死亡、その他なんらかの理由で、婚約に至らない場合は次の方法で、婚約者を制定する。
これは、あくまで最終手段的な措置である。先に述べた1・2・3の遺言に沿うよう、五条家の人間は全力を傾けること。
それでも、20歳の婚約の儀までに成立がままならない場合の婚約者の選出は次のとおり。
以下の方法で五条家、次期当主の婚約者を制定する。
I
五条家以外の御三家、加茂家、禪院家の本家筋以外の中から適齢な相手を選び婚約者とする。
II
Iに適応者がいない場合は以下の術師家系の中から婚約者を選出。
××家
××家
×××家
×家
いずれの場合も、必ず、婚約する当人、すなわち五条家を継ぐ当主自らがその目で伴侶を選ぶ事が必須条件となる。婚約期間を設けて婚約の儀に至るまでの間、交際を重ね、生涯を共にする覚悟のもと婚約の儀にあたること。
婚約者には当該遺言書を開示、承諾、理解のもと、必ず同意を得ること。五条家を継ぐ当主と婚約者は婚約の儀に揃って同席。歴代当主の遺影を祀り、本家、分家、および本家に仕える使用人すべての前で婚約の誓いを交わすこと。
原則、側妻は認めない。
以上
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