第11章 急展開
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次に婚約者についての遺言をここに残す。術式相伝の要となる遺言のため、当主は私のひ孫にあたる五条の次期当主に以下の内容を必ず遵守させること。
婚約者の条件および制定法
1
術式を自覚する齢、五、六 の歳になった折、自らの目で婚約者を選ばせること。
ただし婚約者だと双方に伝えることを禁ずる。次期当主の遊び相手として婚約者を屋敷に住まわせること。
2
家系に術師がいること。
3
五条家の役割のひとつである救済措置で助けを必要としている家系の中から婚約者つまり遊び相手を選ばせること。
1に関しては付記事項に詳細を述べる。
2に関しては五条家の数百年にわたる歴代の術式相伝の検証のもと成る
3に関しては私の遺言のみであるが、五条家の所有する有り余る財を、呪いに立ち向かい惜しくも殉職した貧窮家系に使いたいという遺志である。
五条の家系に生まれたというのはたまたまであり、術師として生まれ生きる道は皆同じ。ともすれば別の家系に生まれてきていたかもしれない。次期当主は、生まれながらの才能・立場・地位・財力を必然としてはならない。
五条家とは異なる環境に生まれ育った術師家系の幼子と純粋に遊び、触れ合う中で、互いを尊び、学び、慈しみ、愛を育むことを願う。