• テキストサイズ

【呪術廻戦】-5歳で五条家に来ました-

第11章 急展開


「これが全容。読めば僕の婚約者になれるのは、たったひとり、夕凪しかいないってわかる」

 悟くんに促されて、あたしは婚約者に関する部分の冒頭から曽祖父様の遺言に目を通した。


 





――驚いた。そしてとてつもなく感動した。

 こんな二つの言葉で片付けられるような遺言じゃないんだけど、ピッタリの表現が浮かばない。

「びっくりした?」
「何をどう言えばいいのかわからない。悟くんは?」
「なにこれって最初に言ったの覚えてんな。本家の人間はみんな知ってたって言うし」

 あたしは、悟くんが言ったように、もうずっと前から彼の婚約者だった。それは悟くんと想いが通じ合った時から? いや、潜在的にはもっと前からかもしれない。紛れもなく悟くんの婚約者だった。

 でもそれは最初っから決まっていた形式的な婚約ではなく、あたしと悟くんが一緒に過ごしてきた、積み重ねてきた時間の中で、静かに、少しずつゆっくり形成されていった、まさに五条家の中で育まれていった婚約。

「術式相伝の秘術の部分は読んだ?」
「もちろん。無下限呪術にまさかこんな特質があったなんて」
「夕凪が僕を愛してたなら術式は確実に子供に遺伝してる。僕は夕凪の事、そういう思いで抱いたから」

 感激して一度止まったはずの涙が再び流れ出してしまった。

「泣き虫だよなー」
「そんなあたしを選んだんでしょ」
「そうだけど」

 一回読んだだけじゃ、とても曽祖父様の遺言は頭に落とし込めたりしない。もうあと3回、読む事にする。

「そんなに婚約者だった事が嬉しい?」
「それもあるけど偉大だから。頭にたたきこまないと!」
「まさかオマエこれ、暗唱しようとしてんじゃねぇだろーな」
「やれなくもない」
「やめろ、さすがにひく」

 ふっ、冗談だよ、悟くん。でも頭に叩き込みたいのは本当。もう一度あたしは巻物を広げて、曽祖父様の残した言葉を目に焼き付ける。これが、五条家代々伝わる遺言書の中の婚約者に関する全文だ。


/ 625ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp