第11章 急展開
恥ずかしくて顔を覆っていたけれど、その手をそうっと広げると、悟くんは優しい眼差しで、もう一度あたしの目をのぞきこんできた。
「オマエが書いた願いは僕も同じ。すぐに五条夕凪にしてやるからな。末長く幸せにしてやるよ」
頭をくしゃっと撫でてくる。こんな日が訪れるなんて夢にも思ってなかった。こらえてきたものが、我慢できずにこみあげてくる。まるで迷子になってた子供を迎えに来たかのように「待たせたな」って、ずっとよしよししてくれる。
こらえきれず、とうとう目のふちから涙の粒がこぼれ落ちた。返事しなきゃとなんとか声を搾り上げる。
「……よろしくお願いします」
涙が止まらなくなってしまった。そんなあたしの頬っぺたに正面からゆっくり手が伸びてきて、親指でその涙を拭われて、あたしは悟くんの婚約者になる同意をした。