• テキストサイズ

【呪術廻戦】-5歳で五条家に来ました-

第11章 急展開


 悟くんが目の前に立っている。その事実が今も信じられない。変わらないさらっとした白髪に端正な顔立ち。

 高い腰の位置からすっと伸びる長い足。もう二度とこの姿を見ることはないと思っていた。

「頑丈な結界でよ、破るのに2回も茈、発動した」って言う。胸ポケに入れてたサングラスが衝撃波で壊れたらしく「これ結構、気に入ってたんだけどなー」ってテンプルを指で摘んでぷらぷらあたしに見せてくる。

 9ヶ月間会っていなかったなんて、まるで嘘みたいに、あたしが五条家を出て行ったなんて知らなかったみたいに、普通に話しかけてくる。

 冬の始まりを告げたばかりの北の地で、キッチン付きの10畳ほどの洋室で、赤ちゃんを抱っこした状態のあたしは、何を話していいのかわからず、たじろいだままだ。

 あまりに予想していなかった出来事で「悟くん」って言ったはいいものの、うまく言葉が続かない。

「怪我してねー?」
「あ、うん、大丈夫」
「子供は?」
「えっと、元気。大丈夫」
「ならよかった」

 悟くんは一歩あたしに近づいた。抱いてる赤ちゃんが気になってるみたい。そりゃそうだよね。子供は? って自然に聞いてくるけど、突然存在しているちっちゃな生命に、驚かないわけがない。

 背の高い悟くんが上からじっと赤ちゃんをのぞきこんでる。

「パパのお出ましだってのに寝てんのか」
「パ、パ?」
「僕の子だろ?」
「……あの、」

 衝撃すぎて言葉が詰まる。パパ、なんてあたしもまだ1回しか使った事ないのに。

 あたしが妊娠した事は奥様経由で知ったみたい。この子は間違いなく悟くんの子。でも、五条家のためを思ったら、悟くんの子じゃないって答えるのが正解なのかな?

 術式もない五条家の非嫡出子なんて、存在すべきじゃないもんね。返事に困っていると、悟くんはさらに赤ちゃんをまじまじとのぞきこんだ。

/ 625ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp