第11章 急展開
「んぎゃああああ んぎゃあああああ」
あ、泣いちゃった。直哉さんのバカでかい悲鳴で、赤ちゃんが泣き出してしまった。あたしがベビーベッドに近寄ろうとすると、先に悟くんがのぞきこむ。
その隙を狙って直哉さんは、外に逃げ出したようだ。丙の何人かと連れ立って、破壊された結界の外に走り去って行くのが見えた。死んでってさっき言ったけど、禪院の坊っちゃんを殺すとなると、後々面倒そうだ。追いかけない方がいい。
あたしが、抱っこすると子供はすぐ泣き止んだ。本当におりこうさん。
「別にあいつは慌てて殺さなくてもいいだろ。子供の目の前でってのも、どうかと思うしな」
うん、って言ったつもりが声が出てなくて、頷くだけになる。悟くんがいるのが信じられない。再会することなんかないと思ってた。でも、もし会えたら最初に言う言葉は、きっと……
「悟くん」
突然何の前触れもなく現れた最強呪術師。名を呼ばれると彼は、懐かしさと愛おしさを交えたような目で、光り輝く青い眼差しを、まっすぐあたしへと向けた。