第11章 急展開
あたしが抵抗するのも楽しんでるっぽい。ほんとに最悪、呪詛師と変わらない処罰対象だ。押し倒されたまま、手で髪やら頬を撫でる。その手が腿へと移動する。
「子供産んだから? 見かけによらず乳あるやん」
腿の付け根から腰を伝って服の下に手が入り込んだ。お腹に触れられるだけで気持ち悪い。ただ涙が出てくる。
――悟くん
心の中で愛する人の名前を呼ぶ。お腹から胸に手が這わされてきた。情けなくて、震えて、涙が止まらない。
「悟くん……助けて」
今まで呼ばないようにしてたけど、ずっと我慢してたけど、耐えきれなくて名を呼んだ。
その時だった。
ドゴゴゴゴ!! ドゴォォオオオン!!!!
けたたましいが爆発音が鳴り響き、ゴォォォォという地響きと共に家屋全体が揺れる。
窓からちらと外を見ると空が紫色の光で切り裂かれていて、別の窓から見える木々は突風で激しく揺れている。まるで未曾有の天変地異でも起きたかのような光景。ゴゴゴゴという地鳴りが鳴り止まない。
「な、なんやこれ!」
ゆっくりと誰かがこちらに近づく足音が聞こえる。勝手に鼓動が速くなる。足音が止まり、直哉さんのその奥に立ち姿が見えた。あたしの視線と彼の視線がぶつかった。
「誰が隠れんぼしろって言ったんだよ」
悟くん? 本物なの? ほんとに来たの? 呼んだから?