第11章 急展開
最低最悪のクソ野郎だ。人の弱みに漬け込んでくる。だけどここに住むも住まないも、この男が主導権を握ってるのは事実。
ここを出てしばらくホテルに泊まるとして、その後は、また未成年の壁が待っている。うろうろして分家の人に見つかるのも怖い。土地の権利書さえあれば、あたしはずっとここに住める。
あたしが術式を止めたのを見て、直哉さんがじりじりと近寄ってくる。
「なぎちゃんは頭良いから理解はやくて助かるわ」
「土地の権利書はタダでくれるの?」
「土地には興味なんかない。こんなもん紙屑やからすぐあげるわ。なんなら抱いてる最中にあげてもいいで」
クズ! クズ! クズ!
距離がどんどん詰められて、あたしは後ずさりして、とうとう壁まで詰め寄られた。こんな男に抱かれるなんて、絶対に嫌!でも土地の権利書は一生もの。一回だけ我慢すれば……。そんな事がふとよぎる。
「なぎちゃん、いいお母さんやもんな、子供のために頑張ろうや。一回きりやしアブノーマルな事とかせーへんから」
「クズ! あんたなんか御三家の恥」
「なんぼでも言うたらええけど、これは同意のもとやからな。後で訴えてきても無効やから」
嫌すぎて、拒否反応で吐き気がする。両手が伸びてきてあたしの肩に触れて、顔を寄せられ、思わず背ける。胸をドンと強く押した。やっぱり嫌。
だけど、子供が気になって思うように動けない。直哉さんも本気で来るから怖い。床の上に押し倒された。うなじあたりに唇を寄せられて、軽く舌をそわされる。不快感しかない。気持ち悪い。胸がむかむかして吐きそう。何もかも苦しい。
「もっと力抜いてくれんと。処女やあるまいし」
「無理だから! はやく終わらせて、権利書こっちによこして」