第11章 急展開
「ここの土地買うのになんぼ払ったと思ってんねん! オマエが弁償できる額ちゃうぞ、ボケ」
部下の人の顔が腫れ上がってひどい。そんな顔見たくもないから早く帰ってほしい。こんな大惨事の中にも関わらず、赤ちゃんは機嫌良さそうにしてる。
とんとんしたら、さらにご機嫌だ。いい子! えらいねー。さすが最強の子だね。肝が座ってる。
「胸糞悪いわ。このままタダで帰られへん……そや……」
直哉さんが片方だけ口の端を上げてこちらに寄ってきた。「取らへんからちょっと赤ん坊置いて」って言う。信用ならないから置くわけない。
「ここにな、土地の権利書あんねん。これ5000万もしてんけど、こんなんなぎちゃん買われへんよなー?」
「だから何ですか?」
「けど、家なくなったら困るやろー? 悟くんにも見つからんようにしてんやろ? 意味わからんけど」
「だったら何ですか?」
「これ、タダであげるから、一回俺と遊ぼーや。しばらく抱かれてなくてさみしいんちゃう?」
血の気がひくことを言う。下衆すぎて呆れるしかない。直哉さんが、男の顔に変わった。今までもセクハラまがいのこといっぱいあたしに言ってきたけど、そこから一段階ギアが上がってる。
「気ぃ、きかへんな、お楽しみするから外、見張っとけやー。1時間くらい楽しむから誰もいれんなよ」
顔の腫れた男に命令した。外には複数人、丙の人間を連れてきたみたいだ。冗談じゃない! 誰がこんな男の言いなりになんか。