第11章 急展開
住むところがない今、背に腹は変えられなくて、夏油先輩が提供してくれた家屋に居住する事に決める。先輩の計らいで、新しい携帯番号も入手する事が出来た。
「子供が生まれて、あたしが成人して、賃貸住宅を借りれるまでの間、その間だけ、お借りします」
もらった地図と書類と鍵を手にする。住まなくなったら鍵はそのまま置いて出ればいいと言われた。そこは夏油先輩も簡単に入れない結界なので、もう会う事はないだろうと言う。
切羽詰まったあたしを助けてくれたのは、五条袈裟を纏った特級呪詛師。彼もまた五条の文字からずっと離れられないでいるのかもしれない。
呪術規定に反して道を踏み外し、今も大義を全うしようとしている夏油先輩に呪術師側のあたしがお礼を言うべきではないと思い、軽く頭だけ下げて、あたしは北の地へと向かった。