第11章 急展開
あたしは何か大きな見落としをしてるのかな? そんな気にさせられる。夏油先輩が見ているのは、きっと悟くんの本質。変わらない根っこの部分。
悟くんの言葉を思い出す。
「夕凪の事がまだ好きなんだけど」
あのパーティの状況下で、別れてるあたしにこんなすごい事を言える悟くんは、その本質は……あたしが思うより、彼はもっと深くあたしのことを愛してる?
それは遺言に背く子供がいても?
五条家を背負っていても?
そうなのかな?
「さて、あとは、悟次第だな。あいつは君を見つけられるかな?」
「ですから、見つけられたら困るんです!」
「は、そうだった。でも、見つけてもらいたいと思うこともあるんじゃないかな。そしてそれは愛する人、悟じゃないと、きっと駄目なんだと私は思うよ」
最後の言葉はまるで、先輩自身の事を被せて言っているような……。
見つけてもらいたい、この非道を止めてもらいたいと思うことがある。そしてそれは、親友の悟であってほしいと、そうでなくては駄目だと言っているように、あたしには聞こえた。