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【呪術廻戦】-5歳で五条家に来ました-

第11章 急展開


 向かった先は京都。急に五条家を飛び出してきたから、当てがあったわけじゃない。だけど、京都には庵先輩や冥さんがいる。

 おふたりなら、事情を話さずとも1日や2日くらいはかくまってくれるだろう。その間に住むところを探せばいい。そう思っていた。

 だけど……
 甘かった。
 甘々だった。
 全くもって甘すぎた。

 まずもって、高専関係者に頼ろうとした時点で甘い。電話をする直前にふと手を止めて、考えた。既に悟くんから連絡が来ていたらどうしよう。「夕凪が来たら教えて」って。庵先輩も冥さんも、悟くんからの誘導であっけなくあたしはお縄だ。

 庵先輩の場合は「夕凪見つけてくれたら尊敬しかねーわ。先輩って認めるしかねーよな」なんて悟くんが言ったら先輩魂に火がついて、うっかりあたしの事を話してしまうかもしれない。

 冥さんの場合は、もっとさくっとあっさりと「五条くんが相手だったのが運の尽き。許しておくれ」なんて妖艶な笑みを浮かべて、直接取引で、現金と引き換えにあたしを悟くんに引き渡すんだ。「冥さんサンキュ」って悟くんがあたしを引っ張っていくのが想像出来る。

 結局ビジネスホテルに宿泊することに決めた。ひとりでホテルに泊まるのは初めてだからか落ち着かない。壁に掛かってる絵画がムンクの叫びに似ていて怖い。

 夜になるとオバケが出そうでやたら心細い。ベッドの下になんかいる。呪霊ならやっつけるけどきっと違う、そんな気がしてしまう。窓の外を見ると知らない景色が広がっていて漠然と不安になる。

「悟くん……」
 一番つぶやいちゃいけない言葉が出てしまった。そっと下腹部に手を当てる。

「弱気になってごめん。守るからね」
 まだ聴覚なんか発達していないだろうけど、あたしは彼の子供に話しかけた。


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