第3章 使用人
学校で悟くんと話すことはほとんどない。
たまに顔を見ることはあっても特別に何か会話したりはしなかった。あたしもそうして欲しかったし悟くんも相手するのは面倒だったんだろう。
そのうちあたしが、悟くんの特別ではなくて、ただの使用人だとわかると、彼女達は「これ五条くんに渡して」とか「好きな人いないか探って」とか「ネズミがマスコットのあのテーマパークの年間パスを譲るから付き合えるように協力して」とか話を持ちかけて来る。
悟くんはモテたからほんとに迷惑だ。こんなことも使用人の仕事なんだろうか?
五条家に戻りあたしは悟くんにたまったプレゼントを手渡す。
「はい、これ、ここ最近の分」
「いらねー」
「受け取ってもらわないと困る」
「受け取るオマエが悪い」
悪いのはあたしかよ。相変わらずのクソッタレ。
最近、自分でも口が悪くなってきてるなぁと思う。誰のせいとはいわないけれど、長年にわたる意地悪な言葉のインプットがきっと脳に影響を及ぼしてるんだ!
心の中でつぶやくdisりはほんとひどい。