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【呪術廻戦】-5歳で五条家に来ました-

第10章 別れ




「ちょっと悟いい?」
 朝早くに、珍しく母親が部屋の入口に来た。襖の施錠を解除して中に入れる。

「なに? 婚約者候補の話だったら――」
「違うわよ、それはいったん保留になってる。当主がぎりぎりまで話を引き延ばしてるわ。悟に聞きたかったのは……なぎちゃんのこと」
「夕凪? なに?」

 急に聞かれてドキッとする。まだ本家には誰一人事情を話してねぇ。夕凪は夕凪の祖父母のところで静養していることになってる。

「容態はどう? ご親戚のところにいるんでしょ?」
「別れた僕にそれ聞く?」
「あらデリカシーなかった? でもいまだに別れたなんて気がしなくて……。それにもし、私の術式が見誤りじゃなければ、なぎちゃんをきちんと五条に迎え入れるべきだわ」
「どういうこと?」
「やっぱり悟は何にも知らされてないのね……」

 遠回しな物言いしてくるけど、何?

「何か知ってるなら早く言って」
「なぎちゃん、妊娠してるんじゃない?」
「は?」
「あなたの子でしょ? もうびっくりしちゃうわよ、ほんと」

 びっくりしてんのはこっちなんだけど。「覚えはあるんでしょ?」って矢継ぎ早に聞いてくる。「心音がふたつ見えたからきっとなぎちゃんと胎児のだよね」「パーティーの時に気持ち悪そうにしてたけど、あれつわりじゃないかしら」って次々いろいろ言ってくるけどまともに耳に入ってこねぇ。

――夕凪が妊娠してる
 居ても立っても居られなくなる。そうなの? そんな体でここから出て行ったの? 

 身に覚えは……何度かある。けどそれは避妊に失敗したとかなんも考えてなかったとかそういうことじゃない。夕凪もそれはわかってたよな?

 戯れの最中ではあったけど、もし出来た時は可愛がるって僕、そう言ったよね? 夕凪も微笑んで頷いてたよな? 真剣に言ったけど伝わってなかった?


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