第10章 別れ
「好きな食べ物はなんですか?」
「お飲み物、お持ちしますね」
「スーツ、お似合いです! どこのブランドですか?」
「五条様が素敵すぎて緊張して何も喋れない!」
喋ってんだろーが。
「どういうところでデートするのが好きですか?」
「呪霊祓った話、教えてください」
「身長何センチですか?! 背が高い人がタイプなんです」
NBAでも見に行けば? 僕より高い人、山ほどいるんじゃねー?
「目が綺麗ですね」
「イケメンって言われません?」
言われねーわけねぇだろ。そのセリフは両方とも聞き飽きてんだよ。
こんな中から婚約者を選ぼうって気にもならねぇけど、開かれた以上、形だけでもやるしかない。仕切り役の使用人から、何か喋ってくださいっていう圧を目線で送られたから仕方なく適当に会話する。
誰かが持ってきた料理の皿を受け取ると、その女が、やった! って顔して僕の右隣をキープする。飲み物を持って来た女は左隣。
「僕、甘党なんだよね」って一言話すとスイーツを山ほど皿に盛ってきた女が隣の女を押しのけて僕の隣に立つ。睨み合いになってっから、移動した。
移動するとぞろぞろついてくる。もうちょっとましなパーティーの方法なかったのかよ。
腕とか背中とか触ってくる女もいたから無下限発動した。
「きゃあ、近づけない! これが五条家の術式でしょ?」
「私に術式を見せてくださったんだわ」って騒いでるけどオマエに寄られたくないだけ。
近づいてくる女がうざくて、少し遠いところを見ると興味なさそうに立食してる女もいる。家に言われて無理矢理参加させられたってとこか。
こんなパーティーに意味なんてあるのか? 遺言にあるような術式遺伝がされるようには思えない。