第10章 別れ
婚約者の候補が集まる五条家のパーティーの当日。貸切った洋館の控室でスーツに着替えた。全然気持ちは乗らねぇけど、長老が六眼でしっかり見てくれっていうからサングラスを外す。
特段、強力な呪力も呪霊の気配も館内に感じねぇからそこまで目が疲れることもなさそうだ。曽祖父の時代の術師一家っていっても、今は、呪術師の一線から退いていたり補助監督してたりする家が多いっていう。
呪術師やってる女もいねぇんだろう。いたら高専で会ってるはずだし。しばらくぼーっと待機してると、坊ちゃまお願いします、と仕切り役の使用人に声をかけられた。役割を果たすべく螺旋階段を降りる。
さっきまで感じなかった強い呪力を感じると思ったらそれは夕凪で、そこにいたのが分かったけどすぐ夕凪は去っていった。朝、体調悪そうにしてたけど、手伝いに来てんのか。
階段を降りると、仕切り役の使用人がパーティーの趣旨を説明する。あくびでそうなくらい話がなげぇ。自己紹介を促されて「五条です」ってひとことだけ話した。
キャッって声が聞こえて、そいつを見るとそわそわし始めて、周囲はざわざわしてる。なんか、こういうの昔よくあったよな、って思い出す。しばらくすると集まって来るわ来るわ。