第2章 ただそれだけ
人の記憶や思いというのは時間と共に曖昧になる。聞くなら今しかねーだろ。さっきから俺がずっと気になっていた事。
「なんで俺を助けた?」
夕凪はどうしてそんな事きくの? って顔してる。俺はじっと答えを待った。
「悟くんだから。それだけ」
俺だから?
それは大人がよく口にする「五条家の跡取りだから、六眼だから」っていうそれなのか?
そんな重圧をオマエが背負ってんのか?
んなわけねー。こういっちゃ何だけど誰もオマエに期待なんかしてねー。俺も含めてお前が俺を守れるなんて思ってねー。
じゃあどういう意味だよ。