第2章 ただそれだけ
なぜこんな護衛がついたかっていうと、六眼と無下限術式を持ち合わせてる事で俺の命に懸賞金がかけられていたって話だ。
ちっ、雑魚どもが、俺はカネにしか見えねーんだろうな。
そんなある日、帷が降りて学校に呪詛師が来た。見張りは殺られたみたいだ。
そう慌てる事でもない。いつもみたいに無下限使って、呪力捻り出して殺すだけ。
敵はひとりだ。問題ない。持ち込んできた特殊な呪具は気味が悪ぃが大した事ねーだろ、そう思って俺は一歩前に出ようとする。
その時、無下限術式が解かれたような気がした。同時に光のような何かが俺の前に現れて、あっという間に水の膜に包まれる。
俺はそのまま水中に投げ込まれた。おそらく校庭近くの沼のようなあの池の中にだ。すぐにこれは夕凪の術式だとわかる。
「あいつなにやってんだよ!」
俺は苛立ちながら必死で術式を解く。池の中から出た時、夕凪は操られた呪霊に取りこまれようとしていた。
あ゛? そんな呪霊いたっけ?
俺は呪霊に気づいていなかった。呪具かなんかの効力でそいつはゼロに近い呪力で身を潜めていたんだと思う。
気取るのに不十分で、こんな呪霊を見たのは初めてだった。
だが状況がわかればなんてことはない。少し厄介な奴らだったが、まだ祓い方がよくわからなかったが、その呪霊を呪詛師と共に消した。