第2章 ただそれだけ
この世に生を受けてから俺はずっとひとりだった。ひとりっていうのは、物理的な意味じゃない。
最終的に自分しかいないっていう心の中のひとりぼっち。
大人ってのは正論ばっかり言いやがる。
「子供を守るのは大人の務め」
「弱きを守るのが呪術師」
「五条家のために命をかける」
でもそんな事いくら言ったって実際オマエらは俺より弱い。護衛に安心なんかしたことない。強い奴だけが生き残る、それが現実。
俺はいつも最後は自分で自分の身を守っていた。そして、きっとこいつらは死ぬ間際にこう思うんだろう。後悔するんだろう。
――なんでこんなガキを守るために死ななきゃいけないんだって。このガキはひとりでも十分じゃないかって。
誰も守りたくて俺の事を守ってるわけじゃない。
正論で塗り固められた義務感で大人達は俺を守る。