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【呪術廻戦】-5歳で五条家に来ました-

第8章 夜空


――1ヶ月前。傑を止めることも追うことも出来なかったあの日、俺は無力感に苛まれて高専に戻った。

 夕凪は俺が夜蛾先生と話し終えた後、俺の後ろにやって来て、何も言わずにただじっとそこに立っていた。呪力を最大限絞って非術師と変わらないレベルにまで落としてる。

 なるべく俺のセンサーにも視界にも入り込まないようにしてたんだろうな。それでも気取ってしまうのが俺なんだけど。

 呪力を持たない天与呪縛のフィジカルギフテッドでも特殊な気配を気取るのに、傑の――親友の変化には全く気付いていなかった。少し痩せたんじゃねぇか?とは思ってたけど。術師しかいない世界を作るとかそんな事、考え出したのはいつからなんだ?

 その変化に気付かされた時には傑は、俺とは違う方向を向いていて、俺の言葉は届かなくて……。

 俺ひとりがどんだけ強くても親友を救えなかった事実と向き合った。先生と話をした後も何時間もあの階段に座って。

 そんな俺を慰めるわけでもなく、励ますわけでもなく、同情するわけでもなく、叱咤するわけでもなく、夕凪はただそこにいた。俺の後ろに……いや違う、いたんじゃない。
――寄り添ってた、俺に。ずっと何時間もの間、ただそこで、ずっと。


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