第8章 夜空
カフェでスイーツを食ってデートのラストは五条家御用達の5つ星ホテルへ連れて行った。俺の顔パスでいけるとこ。誕生日ならやっぱりスイートルームだろ。
夕凪は、エレベーターで最上階に上がる時点でカチコチになってて、スイートルームに一歩足を踏み入れた後は直立したままだ。引っ張って中に誘導すると「これ2人で使う広さじゃないよね?」って部屋全体を見渡してる。
「あ、の……ここ泊まるの?」
「愚問だろ」
顔赤らめてうつむいてる。ベッドの前でそういう顔するのは何? 嫌なの?
「そのつもりで、夕凪は来たんじゃねーの?」
「……そうだけど」
そうなんじゃねーか! 恥じらってんの可愛すぎ。多分他の女がこんなの言ってもなんも刺さんねぇーんだろうけど夕凪が言うとなぜかあざと可愛い。
ディナーは部屋で専属シェフの鉄板焼きを食った。夕凪は美味しいって舌鼓を打ってたし、風呂ではガラス越しのパノラマ絶景を楽しんで満足してたみてぇだ。
長いこと風呂に入ってるから水没してんじゃねーかと思って見に行ったら「きゃああー!」ってまるで変質者みたいな扱いされて。もうさんざん見てんだからそんな叫ばなくてもいいだろ。
まだ俺への免疫足りてねーんだな! そう思って、風呂に交じった。その後はきっと夕凪はパノラマ見てる余裕はなかっただろうな。