第7章 ★誕生日
12月7日。悟くんの話どおり、朝から彼は親戚対応で忙しそうだった。星漿体の一件でお盆に帰省出来なかったんだから仕方ない。次期当主って立場も大変なんだろうなぁと思う。
あたしはふたりの関係がバレるのを恐れて、極力、悟くんに遭遇しないように気を使い、午前、午後と過ごした。
あっという間に夜になった。
――夜は空いてる。
悟くんの言葉を思い出す。まだ何も誕生日のお祝いをしていない。おめでとうの言葉すらかけてない。さすがにまずいと思い、夕飯とお風呂を済ませてから悟くんを探した。
彼もあたしを探していたのか、ちょうどこのタイミングでメールが届く。悟くんのいる場所を知らされてその場所に向かった。
そこは、ご先祖様の遺影が飾られている仏間。丸柱のすぐ横に悟くんが立っているのが見えた。遠くからだけど目が合った気がしたから視線を繋げたまま早歩きで悟くんの元に向かう。真向かいに立って、お待たせって声をかける。
「オマエどこに隠れんぼしてたの? ぜんぜん見かけなかったんだけど」
「分家の方もたくさんいらしてたし、あたし身をひそめてたんだよ」
「ひそめてた、って言葉の使い方おかしくねーか?」
「大人しくしてたってこと! 悟くんとのことバレないようにしてたの」
「……まぁ好きにすりゃいいけど」
「ずっと言おうと思ってたんだよ。悟くん17歳おめでとう。ハピバ!」
「そんだけ?」
ちょっと拗ねたようなむくれたような面白くなさそうな顔する。何となく悟くんのその表情の言わんとする事はわかる。あたしもどうしようかな、どうしたらいいのかな? ってずっと昨日から考えてた。