第7章 ★誕生日
「……もぅ、ダメ、って言ったのに」
「んなこと言って、気持ちよさそうにしてたじゃん。とろっとろの顔して」
「そんな顔してない!」
「いーや、してた。もっとしてーって顔」
「してないー!」
なんでそんなに余裕なのかムカつく。キスしてる時にあたしの顔なんか見てる余裕あるんだ? こっちはキスに応じるのに必死なのに……。
いや待て、夕凪。怒るとこはそこじゃない。論点がズレてる。しっかりしろあたし! 悟くんに向けて大き目の咳払いをひとつ入れる。
「とにかくキスはまずいから!」
「俺たちが付き合ってんのがバレなきゃいいんだろ? そこだろ? オマエが気にしてんのは」
「……そうだけど」
「じゃあ、バレないようにキスすりゃいいだけ」
「……」
悪い人ー!!!
五条悟、相当遊んでたでしょ!?
悟くんの事好きなんだって自覚するまでは、あたしは彼の女関係は全く関心なかったし、知りたくもなかったけど、夏油先輩と対等に話出来るくらいだからそれなりにあったんだろうな。家入先輩が、クズどもって言ってた理由が少しわかったかも。
でも、多分、あたしはそういう彼女たちとは違う存在で、大事にしてくれてるんだろうなぁとは感じる。悟くんの寮に行った時、誰がどう考えてもキスしたであろうあの状況で、あたしの事、尊重してキスしなかった時にそう思った。
それに……。
付き合って3ヶ月が過ぎたけど、キス以上の事はしてこない……。もしあたしがそういう、欲を処理するだけの対象ならもうしてるよね……。
付き合う期間が長くなってきてふと思う。悟くんは、あたしと……したくないのかな?
きっとあたしの事まだまだ子供だって、何にも知らない奴って思ってるんだろうけど、確かに悟くんに比べたら恋愛経験なんかないに等しいけど、でも、少しずつ大人になってるんだよ。